1型糖尿病は, もともと患者さんに持っていた遺伝的因子に環境因子(ウイルス感染等)が加わり発症します. しかし詳細な機序に関してはまだまだ不明点が多いです. つまり1型糖尿病は過去の生活スタイル(食事や運動)が悪くてなったわけではありません.
1型糖尿病にはその発症の速度より緩徐進行1型糖尿病, 急性発症1型糖尿病, 劇症1型糖尿病の3種類に分かれています. 多くの場合が診断時にすぐにインスリン治療が必要なインスリン依存状態です. 1型糖尿病治療で最も重要なことは医師の指示なしでインスリンを中断しないことです. 生命に関わる可能性があります.
一般的にインスリン治療は3回の食事毎の血糖上昇に対するインスリン(追加インスリン)と24時間の血糖調整に対するインスリン(基礎インスリン)の1日4回注射します. 追加インスリンに関しては, 食事内容・運動量・血糖値を考慮して毎回微調整をします. 基礎インスリンに関しては強い運動をしない限りは, ほぼ同量で注射します.
・14日間の間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、
その変動パターンを表示する グルコースモニタリング
システムです.
・ 得られたグルコース濃度の測定値から、自己血糖値測定
による血糖値トレンドを推定し、糖尿病の血糖コントロ
ールをサポートすることが可能です.
・保険適応のみでの取扱いとなります.
1型糖尿病の食事療法は, 基本的には病気になる前の食事スタイルを継続し, そのスタイルにあわせたインスリン注射法を考えていきます. しかし肥満や偏食がある場合には, 食事量や食事のバランスに関しての食事療法は必要です. 食事に対するインスリン量の調整に炭水化物量を勘案(カーボカウント)すると上手くいく場合があります. 当院でもカーボカウントを指導しています. 決して炭水化物制限ではありません.
運動に関しては健康のための運動は必要ですが, 血糖コントロールのためには指導していません.
発症してから長期間たっても血糖コントロールが上手くいかない場合も多くあります. 血糖コントロールのコツとしては, ①自己血糖測定をする前に, 前回の食事量, 活動量, 今の体調などから現在の血糖値を予想すること. ②食事の前後で血糖値を測定し, 食事に対するインスリン量を検証をすること. ③低血糖や高血糖になった時にその理由を検証すること. ④1回の血糖値の結果にふりまわされないこと.などがあります.
1型糖尿病治療として血糖コントロールや低血糖の対策は大切ですが, それ以上に日常生活において, いろいろな問題が生じます. 糖尿病であることを誰に伝えるか? インスリンをどこで打つか? 外食の時どうするか? 就職はどうするか? 運動会やクラブ活動はどうするか? 結婚はどうするか? 妊娠はどうするか?など患者さん毎に多くの悩みがあると思います.どれも100%の正解な答えはありませんが, 当院では一緒に解決法を考えていきます.
1型糖尿病の療養生活には、病院の診療だけでは分からないことがたくさんあると思います。そのため1型糖尿病患者さん同士の交流も重要であると考えます。お子様には「小児糖尿病サマーキャンプ高知」、大人には1型糖尿病の患者会「ゆず'ずの会」、また高知県内で開催される「勉強会」、より広く多くのことを知りたい方には「若い糖尿病患者さんのグループミーティング」をご紹介させて頂きます。
1型糖尿病診療に関しては, 当院の診療以外にも高知大学医学部附属病院にて「1型糖尿病外来」の診療や、東京で定期的に行なわれている「若い糖尿病患者さんとのグループミーティング」にてファシリテーターを行っています.